嫌を重ねて厭の境地に彷徨いこむ作風の著者、傑作選(書き下ろしもあり)。
因果応報がはっきりしていてすかっとするかと思いきや、人の怨念や愚かしさが事態を悲劇に向かわせてゆく。
印象的な話を下記に。
減量中止/健康よりも命にはかえられない悲しみ。
この子をよろしく/しみじみええ話や…しかし、直後の一編と好対照に過ぎる…構成の妙か。別々の本に掲載されていたのが、傑作選で連続することにより読後感のアップダウンを激しくさせる。
甘納豆/タイトルに、生きていく者のしたたかさを感じる。
紙般若/紙般若・後日談/やはり面の話は怖い。
あの子のランドセル/迫力の怪異描写。
鬼頭の母/鬼よりも恐ろしいものがあるとは。