 | 冬芽の人 大沢 在昌 新潮社 2013-01-31 Amazonで詳しく見る |
OLしずりは現役刑事時代、自分をかばった先輩が命を失ったことから、以来女の幸せを諦めていた。先輩の墓参で出会った青年・岬人に惹かれるしずりだが、そのころ忌まわしい過去が浮上し始め…恋愛を絡めたサスペンス。
普通に面白かった。しかし、いくら先輩の息子さんとはいえ一般人に事故の相手の苗字まで教えてしまうかな？というのが疑問。まあ、そこから話が発展していくので、教えないといけない展開ではあるのだけれど…守秘義務を徹底された職場にいたのだから、そこは名前を出さずに説明しそうなものなんだけれど。
好きかどうかもわからないうちにすぐ肉体関係を結ぶことの多い昨今、胸に想いを秘めるしずりはなんとも古風な女。だが、それがいい。岬人も強引さのない育ちのいい青年で、そんな二人のおままごとみたいな可愛い関係にやきもきするのが楽しい。
展開の都合よさ（沖縄まで行ったのに、なぜ急に臆しちゃうかな？など）もあるが、しずりの控えめな…けれど芯の強い性格に好感が持てた。