![]() | 琉球奇譚 キリキザワイの怪 (竹書房文庫) 小原 猛 竹書房 2017-03-29 Amazonで詳しく見る |
沖縄怪談で名高い著者の新作。
近年よく見られる通り魔的怪談ではなく、クラシックな趣ある因果応報談がメインとなる一冊。
かといって新味がないわけではなく、現代も棲息するらしき妖怪話「釣り人の背中には」は、妖怪の馬鹿正直なほどの律儀さと、人間ならではの体験者のアバウトぶりが噛み合わず悲劇を呼ぶ様が、恐ろしかったり滑稽にも思えたり。
また、「山田のおじさん」は化かされたとしか思えぬような幻想味があり、展開が予測不能であった。
その他、お気に入りを下記に。
「浜辺の屍」災いの禍々しさと、今や絶滅しかかっているアツい家族の絆の対比が見事。ええ話や…。
「落ちてくる」自分の身に起きたら嫌すぎる…。
「ガンヤー跡地三話」忌まわしい土地の怨念三部作。迫力!
また、最終話は神と妖怪や人が地続きで住まい、戦地となった沖縄ならではの話で感動的。