![]() | よろこびのうた (イブニングKC) ウチヤマ ユージ 講談社 2016-07-22 Amazonで詳しく見る |
過去、日本で現実に起きた老夫婦心中事件からインスパイアされたマンガだという。
ネット上でよく宣伝を見かけるので読んでみた。この作者のマンガは初読だが、この作品に関して言うなら期待外れだった。
劇画ではなく、いわゆるマンガタッチで描かれた絵は見やすくきれいだ。しかし、ストーリーに難がある。amazonの同書籍レビューにも多々指摘されているように、きれいに描きすぎていて、リアリティが無いのだ。
*ここから内容に触れるのでご注意!
たとえば、老老介護の辛さがさほど描かれずあっさりとしているところ、認知症の症状が現実に即していない点、集落の人々が夫婦の行為にすんなり協力したり、夫婦が意識を保ったまま自殺するところなどがとても気になる。
そしてラスト、夫婦はこの地域の土に返りたかったのだろうと結論が付けられるが、それなら深い穴を掘って生き埋めになれば良かったのでは??
(高齢だから掘る体力ないかもだけど、それこそ地域の親切すぎる住人が協力してくれそう)
この作品で印象的なシーン、遺された夫の日記、かけっぱなしのクラッシック、夫婦で火葬場に入り焼身自殺したことなどは、全て現実にあったことである。
逆に、事件を追うライター、死に至るまでの夫婦の暮らし、周辺の人々と虐待児は創作だと思われるが、ここが弱い。
イントロの衝撃的な心中シーンに至るまでの答えが、この作品からは見いだせなかった。