![]() | 終わりの始まりだ (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
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マンガ家デビューしたものの、編集者からの覚えがめでたくない英雄は、アシスタント生活をしながら原稿の持ち込みをする日々を送っていた。ところがある日、日常は一変し、周囲の人間がZQNと呼ばれる異様な存在に変貌する! 果たして、英雄は生き延びられるのか?
マンガの実写では「GANTZ」などがある佐藤信介監督作品。
4月中に見に行ったらいたく満足してしまって、感想を書いていないことに気付いて今書く次第。
一見して、日本に初めて本格的なゾンビ映画が現れた!と思った(*)。原作の見せ場をいい感じにつないでいて、疾走感のあるムービーに仕上がっているのだ。
パンフを読めば納得、現実からゾンビが跋扈する異世界へのグラデーション、シームレスな連続性に気を配って制作されたのだそう。
原作1巻の、漫画家物語と思わせて…な展開が映画でも再現されていて、好ましく思った。もちろん、長い原作を2時間ちょっとの映画にまとめるために、省略や改変も多々あるのだけれど、破綻することなくきちっと作られているのでストレスフリー。
ゾンビモノのお約束が踏襲されているのも気持ちいい。おぞましき伝染性、ショッピングモール&銃撃、人間同士の仲間割れetc.が素敵だ。腐敗網に似た血管表現がたいへんに気持ち悪くてヨイ。
新鮮味はないかもしれない(**)が、これぞゾンビ(ZQN)!という映像を、これでもかと堪能できる。
そして、配役が良い。アシ役の塚地武雅がとてもイイ!そのなりきりぶりは早い退場が惜しまれ、漫画から抜け出してきたのかと錯覚するほど。
最初はイメージ違いと思われた、英雄役の大泉洋は上手かった…(タクシーにお金を置いていくなど、クソ真面目さは省略されているけど)英雄のきまじめで頑固だけれどお人好しな感じがとてもよく出ていた。
比呂美役の有村架純、ヤブ役の長澤まさみはイメージこそ異なるが、前者は可愛いし演技もなかなかイケており、後者はまさにはまり役といえ、意外な収穫となった。
満足度の高い映画なのだが、いかにせんR-15指定、血や内臓が飛び散るので、グロ苦手な人にはあまりおすすめできない。
p.s.タバコのシーンには「比呂美ちゃんは未成年なんで…」という台詞が欲しかったかなあ。
(*)まぁ、自分は今まで日本映画では「巨乳ドラゴン」とか「ゾンビVS自衛隊」とか、究極の低予算ゾンビ映画しか見ていなかったので、他にお金と手間をかけたゾンビ映画が存在するかどうかは知らない。
(**)原作では、ZQNが蔓延したその後(ZQN異形化やユング的集合無意識の世界など)を描いているので、第二弾が作られるとしたら、世界に新たなるゾンビ像を問うことができるだろう。