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池井戸潤「下町ロケット2 ガウディ計画」

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下町ロケット2 ガウディ計画下町ロケット2 ガウディ計画
池井戸 潤

小学館 2015-11-05


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 中小企業ながら、抜群の技術力を誇る佃製作所。ところが新興のサヤマ製作所の暗躍により、優秀な社員をヘッドハンティングされ、優良顧客だったはずのロケットバルブの発注もコンペになり、またもや倒産の危機にみまわれるが…勧善懲悪エンタメ、シリーズ2作目。

 池井戸潤は時代劇だな、と思う。内容こそは現代モノなのだけれど、その内容は悪代官と越後屋にさんざんイジメぬかれた平民が、マジメさと優秀さだけを武器に逆転大勝利!という、時代劇の王道パターンなのだ(さすがに暴れん坊将軍は出てこない)。
 だが、それこそがベタゆえに大いなるカタルシスもたらし、読後の満足感にもつながるというわけで。王道、バカにはできないっす。

 本作は心臓移植や人工弁など、佃製作所が医療ジャンルに関わっていく。あくなき挑戦を続ける佃製作所にふさわしい進出ぶりだが、小説(≒フィクション)の中で画期的な発明があると、でも現実にはまだこういうの実現されてないのよね、と一抹の空しさを覚えてしまうかも。

 今回は貴船と椎名の二人の悪役(まだいるけど、この二人が悪者ツートップ)がいい味出している。主人公たち佃製作所の面々はマジメに頑張るのみなので、この悪役の存在感のアクこそが、ラストのカタルシスにかかっていると言えるだろう。どうせなら、椎名のその後も少し知りたかった。続刊があれば、そちらでわかるのだろうか。


 シリーズ前作「下町ロケット」の感想はこちら。
http://ameblo.jp/bookfed/entry-10771398207.html



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