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FKB恐怖女子会 火炎の呪

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FKB 恐怖女子会 火炎の呪 (竹書房文庫)FKB 恐怖女子会 火炎の呪 (竹書房文庫)
岡本 美月 田辺 青蛙 明神 ちさと 橘 百花

竹書房 2013-11-29


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 四人の著者による怪談本。私も参加させていただいたシリーズ前作「不祥の水」(#)は心霊とサイコが混在していたが、本書はその流れを踏襲しながらも、心霊度高めらしい。

 まずは岡本美月、平谷美樹との共著「百物語」などで知られ、怪談フリークにはもはや説明する必要はないだろう。
 その作風はといえば、地に足のついた、実直なまでにリアリティある怪談で、いかにも身近にこんなことありそうだと思わせてくれる。
 私的には因果応報の「お賽銭」、チートはダメよ!の「時間を盗んだ話」が好みだった。とくに後者は、家族とのほっこり・のちに切ないやり取りが読ませる。

 次は橘百花。恐怖箱シリーズの読者ならおなじみ。
 サイコと心霊が時に混じりあい、淡々とおぞましい描写が続くところには、えもいわれぬ薄気味悪さが背筋をはい上ってくる。
 中には私の理解力では意味のわからない話もあったが、「さわちゃん」の不気味さや、さもありなんと思われる「想い」が印象に残った。

 田辺青蛙はホラーファンなら知らぬ人はないだろう。
 まるで目の前でインタビューをしているかのような、イキイキとした語り口が光る。
 私的好みは、社会派の「タクシー運転手の話」、舞台に意外性のある「殺し合った話」。

 ラストは恐怖女子会レギュラー、明神ちさと。
 ワールドワイドかつレアの怪談で魅せる。
 都市伝説がリアルに変わる「モハーヴェの血泡」、面白くやがておぞましい「夜が鳴る」が白眉だが、通り魔的恐怖の「夏のダンボールハウス」、グロ花開く「巨船奇譚」も素敵に思った。


(#)恐怖 女子会 (竹書房ホラー文庫)
恐怖 女子会 (竹書房ホラー文庫)




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