![]() | 隣之怪 第五夜 主人の帰り (単行本) 木原 浩勝 角川書店 2013-06-29 Amazonで詳しく見る |
体験者のひとり語り形式で書かれた怪談集。
怪異に至るまでの導入部が長かったり、断ち切れたようなオチが腑に落ちなかったり、不思議なのだけどいまひとつイメージしにくい話があったりでいまいちのりきれなかったのだが、「エンジンの音」は惹きつけられた。戦争の遺した疵と悲しみと、やりきれなさが嫋々と後を引いてイイ。
「泥の手」や「三軒の怪」は「新耳袋」ちっくな話で印象的。「両の手」「烏の言葉」は類書に見かえない新奇な味わいの怪談だった。
また、表題作は現象的にはありふれているものの、シリーズ某作や森達也「オカルト」にも繋がる、実話ならではの広がりを持った話で興味深かった。
シリーズ前作の感想はこちら。
http://ameblo.jp/bookfed/entry-11236491699.html