![]() | SF JACK 新井 素子 上田 早夕里 冲方 丁 今野 敏 堀 晃 山田 正紀 夢枕 獏 吉川 良太郎 山本 弘 宮部 みゆき 瀬名 秀明 小林 泰三 日本SF作家クラブ 角川書店(角川グループパブリッシング) 2013-03-01 Amazonで詳しく見る |
名だたるSF作家の作品が集った短編集。
冲方丁「神星伝」母を殺された少年は、自らの力に目覚めるが。
正統派ラノベ的王道俺TSUEEEEEEE!!!な作品で、個人的に思うところのSFではなかったかなあ…綺羅綺羅しい言語感覚が合わなかったということで。
吉川良太郎「黒猫ラ・モールの歴史観と意見」壮大な終わりと始まり。
「ぺロー・ザ・キャット」とは異なるものの、人語を操る猫が出てきたのは嬉しかった。
上田早夕里「楽園(パラディスス)」愛する人を亡くした男の冒険と賭け。
脳科学の事実から、創造された観念にジャンプする繋ぎ目が滑らかで巧み。
今野敏「チャンナン」空手を教える作家がある日深酔いすると…。
頻出する空手用語がイッツオールグリークトゥミーで辛かった。ワンアイディアをキュートに生かしているとは思う。
山田正紀「別の世界は可能かもしれない。」遺伝子研究から生まれたマウスが脱走し…。
本書の中でも最グロ。設定が私には理解できず…。
小林泰三「草食の楽園」善人だけの星にたどりついた二人の男。
面白かった。皮肉のきいたラストが小気味良い。
瀬名秀明「不死の市」神話の名を持つ人々の旅。
雰囲気はすごく良くて設定も魅力的なのだが、何がなにやらわからなかった。難解。
山本弘「リアリストたち」バーチャルがノーマルになった世界で、ヒロインは生々しい現実に直面し…。
怖くて悲しい物語だ。紅茶の感想がなんともショッキング。
新井素子「あの懐かしい蝉の声は」第六感手術を受け、世界が一変する。
コバルト時代から変わらぬ文体が懐かしかった。この文体はもはやクラッシック。
掘晃「宇宙縫合」生きた私と死んだ私が出会う。
社会派テーマも盛り込まれ、せつなくておもろい。
宮部みゆき「さよならの儀式」ロボットとの別れをシニカルに見守る青年の心情。
ロボがなんともかわいらしく、哀れっぽい。
夢枕獏「陰態の家」恐ろしいものかが出る家で、傀儡師は仕事する。
魔を祓う話で、SFというよりオカルトじゃないかー!と思うが、気が化け物になりゆく過程の説明がきちんと理屈っぽくなされていて、楽しかった。