![]() | ドアの向こうのカルト ---9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録 佐藤 典雅 河出書房新社 2013-01-18 Amazonで詳しく見る |
母親がエホバの証人に入信したことから、25年間信者として生活した男性が教義の矛盾点に気付いて脱退、自由な生活を送るまでの記録。
こう申し上げては失礼かもしれないが、宗教的生活が生き生きと描かれていて非常に面白かった。「サタン」連呼など、証人の暮らし上の決まりはまさしく『あなたの知らない世界』である。よくうちにも二人組のおばさんがパンフレットを置きに来るのだが(何度断ってもしつこく来る)、あの人らはこのような戒律の元に生きているのか~と思った。
著者の母親がヒステリックに宗教を強いる様は、霊能者に入れあげた我が母を思い出した。
私はその後、家族と絶縁してしまったが、著者はすごい。なんと、証人の矛盾点を理路整然と説明し、母親を転ばせる(作中の表現では「ひっくり返す」)のだ。著者の論理的思考力もすごいが、面子に惑わされず、何が正しいかをニュートラルに受け止めた母もすごいと思う。
終盤少しオカルティックな逸話もあるが、証人のことが知りたい人、家族や身近な人の宗教に悩まされている人、自らの信仰に迷いがある人には一読を薦める。