![]() | けさくしゃ 畠中 恵 新潮社 2012-11-22 Amazonで詳しく見る |
一応武家の種彦は、妻にぞっこんLOVE。タヌキ似の本屋・山青堂のおやじにそそのかされて本を出すが? しみじみ時代ミステリー。
種彦が事件を推理するとき、いったん創作だったら…と想像するのが新機軸。
全体的に薄味というか、あっさりした連作集なのだけれども、江戸に重ねて現代の出版事情を語ってみたり、書くのを止められぬ作家の業、創作のたまらない楽しみが書かれていて興味深い。
最初は日常の謎系だったのに、ラストはついに殺人が。とはいえ、謎の多くは科学捜査のない江戸時代だからこそ成立するもので、丁寧な説明が仇となり、真相が早くからわかってしまうことも。
ただ、その後を簡潔に過剰書きした終わり方には、不満。お子さんは亡くしたそうだが、肝心の恋女房勝子はどうなったのか?!
つまらなくはないのだが(レギュラーキャラはみんな可愛い。たとえオッサンでも)、どこか不完全燃焼感のある物語であった。