Quantcast
Channel: 読書日記PNU屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2027

畠中恵「けさくしゃ」

$
0
0

けさくしゃけさくしゃ
畠中 恵

新潮社 2012-11-22


Amazonで詳しく見る


 一応武家の種彦は、妻にぞっこんLOVE。タヌキ似の本屋・山青堂のおやじにそそのかされて本を出すが? しみじみ時代ミステリー。

 種彦が事件を推理するとき、いったん創作だったら…と想像するのが新機軸。
 全体的に薄味というか、あっさりした連作集なのだけれども、江戸に重ねて現代の出版事情を語ってみたり、書くのを止められぬ作家の業、創作のたまらない楽しみが書かれていて興味深い。

 最初は日常の謎系だったのに、ラストはついに殺人が。とはいえ、謎の多くは科学捜査のない江戸時代だからこそ成立するもので、丁寧な説明が仇となり、真相が早くからわかってしまうことも。

 ただ、その後を簡潔に過剰書きした終わり方には、不満。お子さんは亡くしたそうだが、肝心の恋女房勝子はどうなったのか?!

 つまらなくはないのだが(レギュラーキャラはみんな可愛い。たとえオッサンでも)、どこか不完全燃焼感のある物語であった。





Viewing all articles
Browse latest Browse all 2027

Latest Images

Trending Articles