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今頃だけど、レンタルで「アイアムレジェンド」を見た。見たきっかけはというと、新書「荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論」の2007年第一位であり、オールタイムベスト4でもあったからである。
あらすじはこうだ。人類はウィルスに細工した治療薬によってガンを克服したかに見えた。しかし、治療薬の激烈な副作用により、人類のほとんどは、死ぬか変わり果てた化け物に変わってしまう。このウィルスは傷口などから直接感染するほか空気感染も引き起こし、ニューヨークには主人公が最後の人間として、犬(シェパード)と暮らしているのだ。
ん…なんていうか、荒木センセは『男の一人暮らし@秘密基地』にお憧れになっていらっしゃるのね…私にはあまり面白いとは思えん映画でした。
犬(サム)が出て来るうちは犬映画としてまあ退屈はしなかったんだけど、犬がいなくなってからはもう眠くて眠くてね。
ハイこっからネタバレありだよ。
主人公は科学者であり、ゾンビ(?)化した人々を治療する(=人間に戻す)ためのクスリを開発研究してるんだけど、いざ自分の犬が感染したら殺してしまうのね。ここは科学者として、駄目元で薬を打ってみないの、ねえ?と疑問符が頭に飛び交ってしまう。実際、女ンビに打った薬は効果があったわけだし、感情的にも科学的にも、トライアルの価値はあったんではないかと。
犬(=唯一の家族)を失った主人公は自暴自棄になり、ゾンビたちをブッ殺してまわるのだが、彼らはアナタが人間に戻ると信じている治療&研究対象ではないのかと(#)。哀しみで錯乱しているにしても、なんだかこの博士は行動が一貫していない。
終盤、「神の声が~」なんて親子が出て来たシーンにはもうドッチラケで、ああ信仰の篤い国はこういう安易な落としどころにおちついちゃうんだよね、と大いにガッカリ。
p.s.レンタルにはないが、セル版ではオリジナルラストが収録されていて、そちらの方がややマシらしい。トゥルーエンドとか言ってないで、最初からラストは一つにしてキッチリ完成させてくれればいいのになあ。
そもそも、犬を失ったシーンでも、犬のしつけがなっていないので主人公が悪い。いつでもコールすればバックするようしつけておれば、悲劇は未然に防げたと思う。
(#)この辺、類似設定を描くコミック花沢健吾「アイアムアヒーロー」では、かつて同種であった者をやむなく殺す葛藤が、後発だけあって素晴らしくよく描かれている。
アイアムアヒーロー 1 (ビッグコミックス)
