![]() | ポイズン・ママ―母・小川真由美との40年戦争 小川 雅代 文藝春秋 2012-03 Amazonで詳しく見る |
エキセントリックな女優の娘に産まれ、理不尽な要求に振り回された著者の半生を描くノンフィクション。
親との戦い を経た者として、この本は読まねばなと思っていた。
そしたら、あまりに多い共通点にのけぞってしまったわ。親が新興宗教を信じて大金を注ぎ込み、あれこれ生活をアホらしい命令で縛るところなんか、思わず『ウチのことか!』と叫びたくなったよ。
あいつらには騙しのマニュアルでもあるんじゃないかね、うちも『土用は土につくことは全部ダメ、納車も庭いじりもダメ』とかさ、『冷蔵庫一つ動かすのも相談しなさい』とか言って、細々と生活を規定するんだよ。しまいには、じいさんが風呂場で溺れて廃人になり果てたのに、『命だけはセンセイが助けてくれた』なんて、ばーさんがありがたがるんだよな。マジ呆れちゃうね。
ほんと、ろくでもない宗教ってのは、家を壊すのさ!
見栄っぱりで美を鼻にかけていて、思慮が浅くて占い大好きというのも、怖いくらいウチの母と一緒。ちなみに、運転も乱暴だったなあ。県内最高速度違反は女性!って、新聞に載った母だようちのは。
友達が皆無に近いのまで、おんなじ。
著者は母に五年会っていないらしいが、私は13年会っていない。がんで手術するから…と叔母から和解の誘いが来たのをはねのけたし、死ぬまで、死んでも会うつもりはない。
血を絶やすために、子孫を残さないって決めたところまで、そっくりだよ。この点についてだけは、私は夫に申し訳なく思ってるんだがな。もし生まれた子が父か母に似ていたら、本当に殺してしまうと思うから、作れないんだよな。
たまたま頼んでもいないのに困った両親の元に生まれ、自分に自信が持てずにいる…それは私が通った道だったから、この本はあるあるでいっぱいだったな。
いいんだよ、私たちはサバイバーなんだ。今まで苦労したぶん、ハッピーに楽しく死ぬまで生きればいいんだよ。
p.s.実はこの本を読むまで、小川真由美のことは知らなかった。私は医学部に入るため勉強漬けで、テレビもドラマもバラエティも、新聞も週刊誌もほとんど見ない生活だったから。
本書から感じたのは、女優としての才能があっても、母やビジネスの才能はないんだなってことかな。