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恒川光太郎「私はフーイー」

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私はフーイー 沖縄怪談短篇集 (幽BOOKS)
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恒川光太郎

メディアファクトリー 2012-11-30


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 精霊が舞い、神とも妖怪とも知れぬものが人のそばにあり、怪物が潜む沖縄怪談短編集。

 怪談ではあるのだけれど、いわゆる怪談のスタンダードである、ストレートに霊が出てくるような話は一つもない。今までの著者の作品と同様に、センチメンタルなファンタジー成分を濃厚に楽しめる作品集だ。

 男性読者にとって怖いのはおそらくドライな「夜のパーラー」であり、女性に怖いのは「幻灯電車」だろう。恐ろしいと同時に、不可思議な異性が魅力的な前者に比べ、後者はひたすら悲惨で救いがない。幽霊などの怪異にはなぜ女性が多いのかの、一つの答えになりそうでもある。

 私が一番好きなのは、正体不明な人外と交流する「クームン」。ほのぼのだけではなく、あくまでそのテイストを維持しながらドッキリサプライズも仕掛けてみせる、素敵な作品だ。

 エンタメのみに終わらず、歴史的経緯を絡めたことで、物語の重みが増したと思う。







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