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中島義道「生きるのも死ぬのもイヤなきみへ」

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生きるのも死ぬのもイヤなきみへ (角川文庫)生きるのも死ぬのもイヤなきみへ (角川文庫)
中島 義道

角川グループパブリッシング 2009-03-25


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 哲学者が今まで身近に接してきた若者の中から抽出した人格(男3、女1)と、生と死を論じていく人生ハウツー書。

 先日読んだ椎名誠のエッセイで、中島義道の本が良い良いと書いてあったので、初めて読んでみた。
 なるほど読みやすい文章で、いずれ死ぬならば人生の意味は?とか、肥大した自我と世間との折り合いがつきません、などなど興味深いテーマについてが語られてゆく。

 タイトル通り、生きているのはつらいが死ぬのも怖い人のための問答がこの本には詰まっている。私も以前悩んだことが、さくっと解説されていたりした。おませさんなら小学校高学年くらいから、高校・大学生くらいまでの若き悩める男女に最適な書物ではなかろうか。

 ただ、読み進めるにつれ、真理に薄紙をかぶせているような、どうにもならない居心地の悪さを覚えた。著者は真摯な態度で若者の問題に臨んでいるのに、なぜそのように感じるんだろう。

 それは、この本を読んでも言葉で巧くはぐらかされるような気がして、我々がどう生きれば良いかの答えは示されていないからだと考える。もちろん、答えを出すための道筋はうっすらと示されてはいる。悩み苦しみ、考え抜いて答えを導き出すのは読者に任されているのだろう。

 しかし、哲学って何なのだろうね…。






 


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