東雅夫・編「女霊は誘う 文豪怪談傑作選・昭和篇」
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平成の怪談実話から見ると、昭和の怪談小説は地味にも感じられる。恐怖の表現がより派手にエスカレートしてきたせいだろうか。
私のお気に入りは下記に。
豊島与志雄「復讐」
好きな女を夢に見た男は、少し趣味のよくない悪戯を思いつき、実行に移すが…。
死体にも似た、眠る女の瞳、その暗さの表現にぞくぞくした。
伊藤整「幽鬼の街」
男を過去が襲い、追いつかれたときにはその身も既に…。
夢とうつつをさまようかのような世界に頭がぐらぐらとした。
原民喜「鎮魂歌」
あの光が世界を分かち、死と生のコントラストを残酷に描いてみせた…。
詩人の繊細な感覚でつむがれた言葉は、突き刺さるように鋭い。
東雅夫「文学の極意は怪談である」
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文豪が実体験した怪異や伝聞をいかに小説・随筆に書き留めていったかをあらわにするノンフィクション。
同一の怪が作家によって異なるように著されたりなど、興味はつきない。ちくま文庫から出版されている「文豪怪談」シリーズがもりもり読みたくなってしまい、一冊ずつ読んでいくことにした。