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怪談、その豊饒な世界

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東雅夫・編「女霊は誘う 文豪怪談傑作選・昭和篇」

女霊は誘う 文豪怪談傑作選・昭和篇 (ちくま文庫)女霊は誘う 文豪怪談傑作選・昭和篇 (ちくま文庫)
永井 荷風 久生 十蘭 伊藤 整 原 民喜 豊島 与志雄 東 雅夫

筑摩書房 2011-09-07


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 平成の怪談実話から見ると、昭和の怪談小説は地味にも感じられる。恐怖の表現がより派手にエスカレートしてきたせいだろうか。

 私のお気に入りは下記に。

豊島与志雄「復讐」
 好きな女を夢に見た男は、少し趣味のよくない悪戯を思いつき、実行に移すが…。
 死体にも似た、眠る女の瞳、その暗さの表現にぞくぞくした。

伊藤整「幽鬼の街」
 男を過去が襲い、追いつかれたときにはその身も既に…。
 夢とうつつをさまようかのような世界に頭がぐらぐらとした。

原民喜「鎮魂歌」
 あの光が世界を分かち、死と生のコントラストを残酷に描いてみせた…。
 詩人の繊細な感覚でつむがれた言葉は、突き刺さるように鋭い。



東雅夫「文学の極意は怪談である」
文学の極意は怪談である ―文豪怪談の世界文学の極意は怪談である ―文豪怪談の世界
東 雅夫

筑摩書房 2012-03-17


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 文豪が実体験した怪異や伝聞をいかに小説・随筆に書き留めていったかをあらわにするノンフィクション。

 同一の怪が作家によって異なるように著されたりなど、興味はつきない。ちくま文庫から出版されている「文豪怪談」シリーズがもりもり読みたくなってしまい、一冊ずつ読んでいくことにした。






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