![]() | 妖髪鬼談 宮田 登 大原 まり子 田中 文雄 田中 貢太郎 加門 七海 東 雅夫 桜桃書房 1998-08 Amazonで詳しく見る |
髪にまつわる怖い話を収録したアンソロジー。
冒頭で様々な髪の逸話を眺めた後、黒髪うねる恐怖に酔い、一転して白髪の戦慄にも触れられる、絶妙な作品の並びだ。
宮田登「女の髪」

髪の民話や伝説が次々紹介されていき、興味深い。
ただ、女は男と違い禿げぬと書かれている件については、最近はそうでもないかも…と、思う。
加門七海「実話」

怪談を聞いたことから、追い詰められていく少女。
霊も不気味だが、オバケ原の薄気味悪さといったら格別だ。
大原まり子「恐怖のカタチ」恐怖のカタチ (ソノラマ文庫)

恐怖について考え続けた青年の末路は…。
引き込まれた。ストーリーこそ映画「霊体エンティティ」のように暗鬱だが、モチーフが女の髪ではなかったのは新鮮。
田中文雄「妖髪」妖髪 (奇想天外ノベルス)

死児の髪もて人形を作れとせまる母親。
タイトルから薄々展開がわかるのは損だが、ミステリ的面白さがあった。髪と人形って最恐。
田中貢太郎「一握の髪の毛」
浮気男にまといつく情念。
巻末の東雅夫「収録作品解説」にある通り、まこと不条理な味わい。
杉浦日向子「黒髪の怪二話」

時代もので、これだけ漫画である。美しいはずの黒髪のビジュアルが、なんともまがまがしい。
泉鏡花「黒髪」鏡花コレクション (1)

華やかな笑い声の正体は…。
ものすごく華麗で妖美な絢爛たる怪異が現出していることだけはわかったのだが、私の理解力が及ばず。ふだんエンタメしか読まない人間には、難しかった。
森真沙子「水妖譚」

溺れる女を助けた男を、過去が追う。
女の悲しみがにじみ出た作品。
岡本綺堂「白髪鬼」岡本綺堂読物選集〈第5巻〉今古探偵十話 (1956年)

できのいい先輩は、なぜ試験に落ち続けるのか…?
たいへん読み易く、じんわりと盛り上がる怪異に目をみはった。受験生にとっては、これほど怖い話もないだろう。
中島らも「白髪急行」

孤独な男の見たものは。
夢が現実と渾然一体となるかのような、寂しいのにどこか優しい不思議な作品だった。
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黒髪に恨みは深く―髪の毛ホラー傑作選 (角川ホラー文庫)/東雅夫・編

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