ヨットと海、弟のこと、怪談など多岐にわたる内容のエッセイ集。
東雅夫「なぜ怪談は百年ごとに流行るのか」で書名を見たことから、興味を抱いて読んでみた。実は、私にとって本書が初・石原慎太郎。
怪談に相当するのは、今となってはありふれたネタながら異様な臨場感のある「同じ男」、描写から手触りまで感じ取れそうな貴重な体験「ひとだま」、地味にいい話「奇跡」、奇妙に優しい「死神」、遠野物語にも類話のある「生死の川」、裕次郎の「ライター」、イメージの鮮烈な「鬼火」、少しだけ不思議な「路上の仏」、写真に映るもの「私は信じるが」、怪奇実体験「崖の上の家」。
やはり海の話が多く、鮫や巨大魚、遭難の話がエキサイティングであった。