 | だまされて。―涙のメイド・イン・チャイナ ポール ミドラー サチコスミス 東洋経済新報社 2012-03-16 Amazonで詳しく見る |
中国に製造をまかせきりにした、あるアメリカ企業がいかに苦労してきたかを、実例を交えて語るノンフィクション。
ユニクロ製品のように高品質な中国製製品を目にしているとにわかには信じがたいが、本書の言うように、輸入者の目を盗んでコピー商品を売り捌いたり、勝手にコストダウンして質を落とす工場も実在するのだろう。
工場を経営する陳姉さんの言い訳は道理が通っておらず、どうにも理解・共感しがたい。まるで、輸入会社を出し抜いて品質を落とし、差額を貯めるスリルを楽しんでいるとしか思えない。
著者は工場での杜撰な衛生管理を見て、中国製ボディソープが使えなくなったのだとか。そこまで極端ではないにせよ、本書を読むと絶望的な気分になるのは確かだ。
安いことのみを求めるいびつな世界には、こんな手痛いしっぺ返しが待っているのかもしれない。