郷土史研究書のようだった前作(★0)に比べ、本書はグッと現代寄りとなり、文体もエッセイ調イマドキ風なので私のような歴史素人にも読みやすくなっていた。
しかし、著者が偶然(?)あの作家と巡り合うシーンは驚きだった。スタンド使いは惹かれ合うのか。コミカルなお二人のやり取りも見どころだし、どこか少しずつつながってゆく連作風味のストーリーも楽しめた。
お気に入りを下記に。
天狗倒し/あちらさんもスポーツがお好きなのだろうか。レベルE(★1)の反目する宇宙人同士の某話を思い出した。
小倉の酒場と美空ひばり/思わず創作を疑ってしまうほど、小気味よく決まったラストまで面白かった。怪談バディもの(★2)として新鮮みを感じた。
染付菜の花に蝶紋小皿/ちまちまとした怪異と思いきや、直接攻撃がなかなかにすさまじい。
封じ込められた首/前置きという助走を経たのち、突如襲い来るとても良質なホラー。グロ嗜好のある読者は歓びに震えるのでは。
(★0)同著者の本
(★1)冨樫義博のSF作品
(★2)ヤマシタトモコ「さんかく窓の外側は夜」
さんかく窓の外側は夜 1 (クロフネコミックス)
posted with amazlet at 19.04.30
ヤマシタ トモコ
リブレ出版 (2014-02-10)
リブレ出版 (2014-02-10)
このマンガのビジュアルがついつい頭に浮かんだ。実際にはたぶん違うだろうけど、菱井≒三角、雨宮≒冷川のイメージ。あまりに仲良すぎて…。
酒の薀蓄などまんまだし、まさか雨宮先生の変名じゃなかろうな?と邪推していたら、あとがきで種明かしが…!