四十九夜シリーズも5冊目とのこと、幸いにして今回もおよばれかなって不肖わたくしも五篇寄稿させていただいた。個人的にはバーのマスターが不参加で残念(いつも衝撃的な話が楽しみなので)。
執筆はこのところのネタ不足も手伝い、もしかしたら〆切までに出来ぬやも…と胃壁を溶かしながらの作業になったが、こうしてアンソロジーを手にすればトタンの苦しみも忘れていそいそと読むのが正しい怪談ジャンキーだね。
私的お気に入りを下記に。
つくね乱蔵 様子を見る/怪異から逃れようとした先が、私の住む街に似ていて共感…たいていの建物はたいてい三階建てだし。
我妻俊樹 焼けた家/不条理極まる内容が、ダリの描く時計のようにぐにゃりと脳内を流れていくような、独特のリズムが魅力的。
同 みくすけ/一行空けの前後で、がらり変わる空気がステキ。
緒方あきら 大石様/かつての祟り●も、日常にさらりと溶け込んで、いずれ忘れ去られていきそうなのが怖い。●は祓えない、だって●様だから。
ふうらい牡丹 絵/日々しみついた煙の幻影が不可思議…。
鈴木呂亜 死者は屋根裏がお好き/人獣問わず、屋根裏にあった様々な死体の逸話が興味深い。
冨士玉女 散歩/犬のこととて、どうにもこうにも。本犬はどう感じているのだろうか…。
真白圭 こけし/正統派のゾクゾク怪談。タガが外れてしまった‘それ’の祟りはまっこと恐ろしい。
黒史郎 ひなど/わけのわからなさが、不安を加速させる一品。
黒木あるじ 今度はもう/印象的なイメージと諦念が胸にしみゆく。
同 実はその家/語り口にひきこまれた。
p.s.読み終えた昨晩、からだに何かに引っかかれたような三本線がたすぐけのように入っていた。腫れがひいた今日よく見れば、皮膚が薄く裂けてかさぶたになっている。からだがかゆい覚えも掻いた覚えもないというのに、はて…。