怖い絵本といえば、せなけいこ「ねないこだれだ」(#)だとツレは言う。アラサーになってから初めて「ねないこだれだ」を読んだ私は、その苦い展開に驚きはしたが、純真なこどものように恐怖することはできなかった。
まだ心がやわらかいこどものうちに出会っておきたい絵本が、次々配本されている。「怪談えほん」と名付けられたシリーズには、きれいなだけの薄っぺらいものは出てこない。いい子ちゃんな物語よりも、世界の本質をそれとなく教えてくれる、こども向け書物として大いに期待したい。
宮部みゆき・著、東雅夫・監修、吉田尚令・画「悪い本」
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あなたに語りかける一冊の本。それは「悪い本」だと名乗るが…。
やや理の勝った文章は中学生から大人向けの印象を受ける。っ小学生くらいだと、あまり本書の内容はピンとこないのではないか(それは幸福なことでもあるが)。
綺麗でいて不安を煽るイラストが素晴らしかった。とくに、本の精神を具現化したかのようなクマが素敵に恐ろしすぎる。
皆川博子・著、東雅夫・監修、宇野亜喜良・画「マイマイとナイナイ」
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母にも父にも見えない小さな弟を連れて、少女は生きるが…。
徹頭徹尾幻想的なストーリーで大人には飲み込みにくいが、小さな方の方が、感覚的に理解されるのではないか、と思った。読者に問いかけるラストに余韻が残る。
これまたイラストが素晴らしく、特に【よるのゆめ】が視覚化されたシーンは妖しくて印象的。
(#)ねないこだれだ
ねないこだれだ (いやだいやだの絵本 4)/せな けいこ

個人的には因果応報が容赦ない「もじゃもじゃペーター」もおすすめ。
もじゃもじゃペーター (ほるぷクラシック絵本)/ハインリッヒ・ホフマン
