![]() | 狐と韃 知らぬ火文庫 朱川 湊人 光文社 2017-08-17 Amazonで詳しく見る |
「日本霊異記」を翻案し、生き生きと紡がれた8作品を収録。
楽しい読み物だった。不思議好き、ファンタジー好きなら気に入る本ではないだろうか。不学にして原典を読んだことがないので、本書が素材をどのように調理しているかについては言及できないのだけれど。
淡々と話が進む内に、人の心の機微がたしかにあらわれていて素敵。
原典のせいか艶めいた話も目立つが、濡れ場が下品にならぬのは著者の持ち味。これ以上エロティックになると私は苦手なので、熱気を孕みつつもどこか上品な描写で助かった。
一遍一遍がアッサリ終わってしまうため、その後が気になる話もあるが、それもまた原典があるからこそだろう。
一見、独立して見える話が後ほどつながりを見せるのも楽しかった。
p.s.副題に「知らぬ火文庫」とあるけど、シリーズ化するのかしら?そしたら読む。