![]() | 竜と流木 篠田 節子 講談社 2016-05-25 Amazonで詳しく見る |
とある孤島にしか生息していない、両生類・ウアブ。生息地の環境激変につき、隣の島へインポートされたウアブだったが…生物パニックサスペンス。
フィクションにあれこれ言うのは野暮だが、気になる点がちと多くて物語に没入することができなかった。
まず、素人(語学教師で、生物学の専攻ではない)の主人公がウアブ研究の権威だという設定が信じがたい。孤島の固有生物、しかも人がペットにしたがるほどの魅力的な生き物なら、主人公以外に生物学の専門家が研究したがるはずなのだが。
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ネタバレ!
外来種が移入した土地で脅威になるのは事実で、日本ではとくに害虫でも何でもないカナブンも、アメリカへ旅立つとリンゴの害虫として名を馳せるなど、その性質や食性が変化するのは大いにありうる。
あと、作中でも言及される通り、ウーパールーパーとサラマンダーの関係(ネオテニー)を知っていれば、黒トカゲの正体を見抜くのは容易だろう。それは良いのだが、ウアブが幼形成熟を捨てた理由が承服できない。ホテル側の流した薬品に性ホルモン攪乱物質が含まれていたなら、まだ納得できるのだが…その散布を理由にするのは、ちと性急ではないか。
同著者の「ブラックボックス」でも、病気になるのが早すぎると感じたものだが、本作もその例に漏れなかった。
p.s.amazonレビューで、ウアブを他の島に移入させた主人公が攻められていたが、隣へ移そうと思いついたのは女医だから、彼女の方が攻められてしかるべきなんではないかと思った。
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