![]() | クララ、いっしょに走ろう―障がいをもった、白いシェルティ (ポプラ社ノンフィクションシリーズ) 今西 乃子 ポプラ社 2009-11 Amazonで詳しく見る |
白く美しい毛並みを持ったシェルティを、保護施設から引き取ったら、その犬は目と耳に障害を持っていた。先住犬とも相性が悪く、悩む里親だが…動物ノンフィクション。
少し前の本だけれども、私がこの本を読んだのは、ふと通りがかったペットショップ前にあったホワイトボードがきっかけだった。
「里親募集 ブルーマールの犬差し上げます(無料)」
犬は好きだけれど、主に日本犬やスピッツ系が好きな私は、「ブルーマール」というのがなんだかわからなかった。
帰宅して検索してみると、「ブルーマール」とは、白地に黒や茶などの毛がまだらに出る毛色のことで、美しいので珍重されているらしい。そして、ブルーマールの親犬同士から生まれた子犬は、25%の確率で眼球・耳・心臓に重い障害を持って生まれるという。
もう少し調べたいと思い、図書館で見つかったのがこの本だったのである。
障害を承知で引き取る里親さんは本当に立派だ。しかし、先住犬との相性が良くなかったときに旦那さんが言った言葉は重かった。この子を幸せにしたいという妻に、夫は「前からいた子を不幸にしてまですることなの?」と問いかけるのだ。
奥さんはもちろん悩み、あきらめかけたときに旦那さんのさらなる協力があり、なんとか二人と二匹は困難を乗り越えていく。この過程がとても考えさせられるし、感動的である。
商売のために命をもてあそぶと、必ずひずみが出て来る。そんな人がいる一方で、生まれた命を大切にしていく素晴らしい人々もいる。年若い人にぜひ読んでほしい一冊だ。