![]() | 恐怖箱 切裂百物語 (竹書房文庫) 加藤 一 高田 公太 ねこや 堂 神沼 三平太 竹書房 2015-07-29 Amazonで詳しく見る |
一編が1-3pほどの短い怪談がぎっしり詰まった、毎年恒例の百物語本。百物語は読むときも一日で一気に読むと怪異が起きるとよくいわれている…え?私?ヘタレだから、数日にわけてチビチビ読みましたが何か?
私的お気に入りを下記に。
高田公太…あとがきに記された現実が、もしかしたら最も恐ろしいのかもしれない。
「二年」一見、超自然でも何でもないので地味に思えるけれど、もし我が身に起きたらと思うと、これほどの恐怖はないのではないかと思う。
「目覚まし」生霊なのだろう、印象が鮮やかで目に浮かぶようだ。
「平気で……」なんとも不気味で物悲しい。
「屋根雪下ろし」声が耳元で聞こえそうな錯覚を味わった。
「父」いい話なのかはさておき、息子を見守っていたのだろうなあ。
ねこや堂「白い人」静謐な空気が好み。このような真っ白い人を見た、という話は私も収集したことがあって(「怪談女医」収録)、たいへん興味を持った。
「へたくそ」こんなハッキリとした怪異を怖がらない、体験者の方が怖いかもしれない。
神沼三平太「おっぱい」なんてタイトルだろうと思ったら、そのものズバリなのだった。類話を私も採集したことがあって、以前ふるさと怪談in静岡で該当の話を語ったことがあるので、関心しきり(*)。
「トイストーリー」人はともかく、なぜその動物が…?謎は尽きない。
「下河井」こういう話は、ひっそりと全国の現場に埋もれているのかもしれない。
「焼きそば」泣かせ系のいい話!
「真冬の蝶」プシケー譚。すれ違いで(該当話を読む前に)類話を発表していたため、読んでいてドキドキした。
「バナナ売り」のどかな出だしを裏切る、悲惨な結末。男性読者にはより恐ろしいことだろう。
「穴」こんな可愛い子なら、化かされてしまうよなあ。
「着物の女」なんという不条理。バンド者には嫌な話である。
(*)モノホンにしろ錯覚にしろ、類話があるのはそういうことを体感しうる証左に思え、好ましいのである。