 | ドキュメント御嶽山大噴火 --生還した登山者たちの証言を中心に救助現場からの報告と研究者による分析を交え緊急出版!-- 【地図付】 (ヤマケイ新書) 山と溪谷社 山と渓谷社 2014-12-01 Amazonで詳しく見る |
行楽日和に噴火を起こし、多くの犠牲者を出してしまった御嶽山のノンフィクション。
第一章は時系列に沿って報道を列記している。贅沢を言えば、事実の羅列は巻末に表として載せていただいて、発端からいったんの捜索打ち切りまで、識者の視点で読み物としてまとめてほしかった気もする。
圧巻なのは第二章で、巻頭にあるカラー（写っているのは白黒の世界だが、驚くべきことにカラーなのだ）写真を撮影した方の生還談など、貴重な体験が掲載されている。
噴火の専門家による分析パートは門外漢には理解が難しいところもあった。
終章はレスキュー側からの体験談。硫化水素が発生し火山灰の降り積もる中、捜索が困難を極めた様子が伝わってくる。
読者の勝手な願望を書くと、同社の類書「生還」や「気象遭難」のように、生還者の証言にもっと頁を割いてほしかったなと思う。バラエティに富んだ構成で、あの日御嶽山で何があったかをざっとつかめる新書となっているが、各項目を深く知りたいと思っても、扉をつかんだところで話が終わってしまう、そんな印象を持った一冊だった。