Quantcast
Channel: 読書日記PNU屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2027

浜口倫太郎「宇宙にいちばん近い人」

$
0
0

宇宙にいちばん近い人 (ポプラ文庫 日本文学)宇宙にいちばん近い人 (ポプラ文庫 日本文学)
浜口倫太郎

ポプラ社 2013-06-05


Amazonで詳しく見る


 時代は戦後しばらく、銀行勤めのヒロイン・幸子はシベリア抑留から帰還した父と、まだ幼い弟との三人暮らし。多忙ながらも平穏な日々に現れた闖入者は、宇宙人・バシャリと名乗り…愛と家族のファンタジー。

 ずいぶん長らく積読してしまったことを後悔するほど楽しい一冊だった。
 なんと言っても、バシャリの天真爛漫なキャラクターが楽しすぎる。歯に衣着せず、正直に思ったことをポンポン発現してしまうため、あたふたする周囲(主に幸子)が、実にコミカル。

 ライト&コミカルなSFであるのみならず、幸子のビルドゥングスロマンであり、戦争の残した傷を再生させる家族物語であり、可愛く初々しいラブストーリーでもある。盛りだくさんでサービス精神たっぷりな一冊だ。

p.s.タイトルから、最初は宇宙飛行士の物語かなと思ったら、或る意味当たらずとも遠からず。
せっかく同居なのだから、もっと家の中でのハチャメチャなコメディがあっても良かったけれど、そこは昭和、今とは違って奥ゆかしい。
 幸子の立身出世はとんとん拍子すぎるとも思えるが、そこは人柄なのだろう。
 本編を読み終えてから、巻末の作者あとがきを読むと、星新一の本が読みたくなるのであった。

 とりま本作、朱川湊人好きならハマると思う。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2027

Trending Articles