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「珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」

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珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
岡崎 琢磨

宝島社 2012-08-04


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 京都の喫茶店タレーランには、絶品珈琲を淹れるバリスタ・美星がいた。彼女のコーヒーのとりことなった常連客が持ち込む謎を、美星が解いてゆく日常系ミステリ。

 発売直後に入手したのに、ずっと積ん読していて読むのが今頃になった。表紙絵が可愛かったのと、流行の本を一応読んでおこうかと思っていたんだった。当時はブロックバスターがかかっていて、どこの書店にも「ビブリア」とこれが山積みされていたものさ。

 読み始めて思ったのが、ラノベにしては文体に癖がありすぎ(表現が大仰)だし、ミステリにしてはネタが薄いし、どうにも読みづらいということだった。
 もともと、日常の謎というのは人によってはどうでもいいことにこだわったり、お節介になったりと難しいものだが、本書における謎は主人公が謎と思っているだけで、そもそも謎ではなかったりする。

 解説によればこの作品は文学賞に応募されたもので、キャラは魅力的だがミステリ分が薄かったため、加筆の上出版されたのだという。それでも前半部分はミステリ色が薄すぎ、キャラもアンビバレンツで軽薄な人が多いので、投げる人が続出したと思われる。

 主人公の繰り返す口癖「んぐぁ」、ヒロインの決め台詞「挽けちゃいました」も鼻につくが、コーヒーに絡めた人名やギャグセンスが私とは合わなかったりと、四章までは何度放り出しそうになったことか。
 ただ、後半はようやくサスペンスタッチな傷害事件が起きたり、とあるトリックが凝らされていたりなど、ミステリーマインドをいくらか感じることができた。

 しかし、●コに牛乳はあげちゃダメだったりとか、主人公の家(集合住宅)には表札とか名札はないのんかとか、アラも目立って気になってしまった。あと、おじちゃんいる意味あるのんか?役立たずすぎ。

 コーヒーのうんちくも通り一遍で、謎と絡み合うわけでもなかったので、カフェミステリとしては、そこがちょっと残念。

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