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「怪・異形夜話」全話感想その3

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 橘百花:生き生きとした心理描写に引き込まれる。

「予期せぬ訪問者」霊を見てしまった女性の困惑と恐怖がありありと描かれていて迫力があった。おぞましい状況なのに、ほんのりユーモラスなのも好き。

「霊能者の仕事」おお、なんと連作なのだった。前話からの続きである。生者に訴えかける死者のために、霊能者登場。

「それぞれの想い」事件が解決に導かれる様子。霊能者が出て来ると、どうしても〈ヴォルヴァドスがいるならクトゥルー怖くないじゃん〉みたいに力のインフレというか、怖さの面ではトーンダウンせざるを得ない。創作ならいくらでも悲惨なことが起こりそうだが、そうはならない…そこが実話のキモなのだろう。

「後日談」怪談をただ怖がりたいなら蛇足な部分なのだけれども、美郷さんがちょっと可愛く思えてきたw



 三雲央:「恐怖箱」シリーズでおなじみ。

「ビデオテープ」ありがちかもしれないが、謎の余韻が残る普通のいい話だと感じた。だが、1pにわたる著者の自作解説(?)を読んでも、何故この話に惹かれるのかが理解できず…そこは、性別の差などが関係してくるのだろうか、よくわからない。

「犬が話をするところを見にいこう」ほのぼのかと思いきや、戦慄の展開。救いのないところも含めて、同著者による三話の中では最恐・最狂だった。ただ、一般的に犬種はロシアンとはあまり言わないかも。シベリアンとか、アラスカンと言うと思う。

「分岐点」なんとも陰鬱な話であるが、驚いたのは著者自身の体験だということ。そのせいか、どこか私小説的な趣すら感じる。



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