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須賀原洋行「実在ゲキウマ地酒日記」1

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実在ゲキウマ地酒日記(1) (イブニングKC)実在ゲキウマ地酒日記(1) (イブニングKC)
須賀原 洋行

講談社 2013-10-23


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 漫画家とそのニョーボが、美味しい日本酒と手作りツマミを次々紹介してくれるエッセイコミック。

 昔、支配のきつい母と二人暮らしで、医学部目指して浪人していたころ…唯一とも言っていい息抜きは、月刊漫画誌アフタヌーンの購読だった。そのころのアフタヌーンには岩明均「寄生獣」、そしてこの作者の「よしえサン」が載っており、つらい現実を大いに紛らわせてもらったものだ。

 時は流れ、作者…漫画家Sはアフタヌーン&モーニングから他誌へ移籍し、自然と目に触れる回数も少なくなっていった。私が雑誌で読むより、コミックスで読めばいいやという考えだったからである。

 今回も、そんな感じで〈あ、Sのコミックス出たんだ。買わなくちゃ〉とamazonの商品ページへ飛んだ私を待っていたものは…。

 amazonで在庫なし、2-4週間で取り寄せ。まあそれはいい、売れているのだろう。よその書店をあたってみようと思い、商品ページを離れようとしたとき…満点続出のレビューが目に入った。

 それは商品レビューらしからぬ、「ご冥福をお祈りします」というタイトルで始まっていた。なになにどういうことよ、と私はそのレビューを読んだ。すると…Sのニョーボで、漫画でも人気キャラクターであるよしえさんが、亡くなっていたというのだ。

 あの、よしえさんが?!私はとてつもない衝撃に打ちのめされた。あの、ホホ~ッと優しく笑う、癒し系のよしえさんが??本当に!?

 その週に出た漫画誌イブニングに、本作の最終回が載っているとamazonレビューで知り、すぐに書店に走った。よしえさんは…やはり亡くなっていた。がんだったという。夫と息子さんたちに看取られての最期だったらしい。

 幸い、地元書店で一冊だけ残っていた本書を購入し、ちびちびと酒をなめるようにして少しずつ本書を読んだ。
 地酒にもクッキングにも大して興味ない私だが、Sのファンであるせいもあり、漫画は楽しかった。単調になりがちな酒の味の紹介を、キャラクターが肉体変形してまで伝えるところは漫画表現としてイカシているし、クッキングレシピもついており、呑兵衛にはお役立ちな一冊といえる。
 個人的には、静岡の地酒・磯自慢の名前が美味しいリストに挙げられていて嬉しかった。焼津産の磯自慢、めっちゃ刺身に合うんだよねぇ。個人的には、スッキリ系の藤枝産・喜久酔の方が好みだけれど…。

 よしえさん、ありがとう。そして、さようなら。でも、2巻と来月発売の「クッキングダンナ」も買います。非実在となったあなたに、漫画の中で会えることを夢見て。



 

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