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平山夢明・監修「怪談実話FKB 饗宴」5、感想前半

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怪談実話 FKB饗宴5 (竹書房ホラー文庫)
怪談実話 FKB饗宴5 (竹書房ホラー文庫)

 怖い話であることを条件に編まれたとびきりの怪談競作集も第5巻め、レギュラー作家陣のクオリティが高いのは当然、今回も意外な展開や従来の怪談にはない新味がたっぷりで楽しませてくれる。

山下昇平 巻頭の〈呪われる絵〉のようなカバーオブジェ(←不気味なのに美しい)製作譚が〈ヤバイ〉くらいキていて素晴らしい。

松村進吉「残されて」親から継いだ店には、話題にしてはいけない禁句があった…。
 白黒つけず、読後のモヤモヤ感がなんとも絶妙に嫌な感じである(←褒め言葉です)!!
同「ふたり部屋」入院した部屋では、奇怪な出来事が次々起こり…。
 事象自体はよくあることなれど、手練れの筆により緊張感がキリキリと漸増されてゆく様が快感。

小田イ輔「座敷童」人ならぬ女の子を可愛がると幸福が舞い込んだが、やがて…。
 お約束だが読ませる。タイトルがネタバレでもったいないのでは…?
同「汚布」捨てられた汚い布を片付けているうち、とんでもないことに…。
 ワケノワカラナイ気味悪い話で、好き嫌いは分かれそうだが、とってもゾクゾクした。類話がないタイプの話であると思う。
同「思い出」揺れる頭脳の描写が面白い!いや、時々あるんですよ、実際に聞き取りをしていると、こういうことって…。

清野とおる「赤羽奇譚」赤羽を舞台とする漫画で知られる方ゆえ、漫画かな?と思いきや、文章であった…が、これが素晴らしく面白いのだっ。怪異もナイスだし、もっともっと読んでみたくなる。

黒史郎「あぶない入道」うろ覚えの妖怪が、とんでもないところとつながる構成が見事。不安をじわじわ盛り上げてくれて楽しい。
同「宝物」おばあちゃんの宝物と、意外なオチにわくわく感が半端ない逸品。
同「かわいい子よ、ごめんなさい」これは珍しい外国の怪談。ラストがせつない。

柳原慧「異邦人」親の墓所の近所にあった墓をつい携帯で撮影したことから始まる恐怖。携帯怪談としてはよくある怪異なのだけれど、予想外の終盤に至るまでの、じっとりと侵食していく恐怖が良かった。

明神ちさと「風鈴禍」涼しい鈴の音が、不快に変わる瞬間がショッキング。怪異のビジュアルが好き。
同「露店風呂の月」月が二つ、の下りで〈狸が化けているんだよな!〉と確信したら違っていた(汗
 無防備に裸を晒す、風呂や便所が舞台の怪談は湿度が高くて好み。
同「混沌遊戯」かの「東京伝説」ばりのゴア描写が頭脳を直撃する。怪異より人が恐ろしい。もっと読みたい!


 後半は明日UP予定…です。



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