![]() | いつも彼らはどこかに 小川 洋子 新潮社 2013-05-31 Amazonで詳しく見る |
しみじみステキな短編集。純文学らしく、オチを付けぬまま唐突に終わる話も多いので少し戸惑うかもしれないが、書かれた世界はあり得ないものであっても、素晴らしいリアリティを備えている。
私的に一番しみじみしたのは「ビーバーの小枝」。小説家は翻訳家の家を訪ねるが…手紙でしか登場しない翻訳家の存在感といったらない。濃厚にイメージを喚起する、言葉の力感じさせる作品だ。
しかし、某短編について…レウコ(以下略)って、中間宿主→中間宿主みたいな感染するのだっけか。中間宿主の体内では成体になれないし、終宿主の糞中の虫卵から感染するのだと思うのだけど。そこを除いては、ヒロインの気位の高さと報われなさっぷりがたいへん面白かった。