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高橋ヨシキ「FKB異界ドキュメント 白昼の魔」

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 同じくFKBシリーズの「饗宴2」で、異様な怪談に惹かれていた(私は、TOKYO GORE POLICEのファンでもあるのだが)。その著者の単著であるから、読者として期待しないわけがない。←前置きココマデ。

 読めばその並々ならぬ力量がおのずと理解されるはずだ。なにしろ、凡庸な話が一つもない。どっかで見たアレなど見あたらない。すべてが進化しすぎたアンモナイトみたように奇怪に歪みねじくれて悲劇へと暴走していくのだ。
 アイデンティティにヒビを入れるサイコ系、視覚への暴力であるグロ系、その人の本質に関わるエロ系(ややSM関係多めな印象)に加え、因習のムラや妖怪としか思えぬ怪生物までぞろぞろ出てくるのだから、これはまさに、お話の百鬼夜行だ。


 都市伝説って、どの本も似たような話ばっかでツマンないんだよね~と倦んでいる人にこそおすすめの、エキサイティングな書である。
 心霊系ではないが、面白ければそんなのどっちだっていいことじゃない? 私は著者が切り捨てたという心霊系の話も強烈に読みたいのだけど。
 いずれにせよ、猛烈な本が出たものだ。気の弱い人が読んだら、目から血が出そうでもある。世の子供さんには隠しておきたいが、どきどきしながら親の目をかすめて本書を読むのもまた一興。きっと、一生忘れられない本になるはずだ。「昔、おれ親父の本棚で異様な本を読んでさ…」みたいにね。

 続編を早くも熱望する!!


私の特に気に入ったお話を列挙してレビューを終えたい。
「馬鹿」すべてがワヤになるラストに痺れる。
「顔が違う」ぞっとするような世界の、さらに向こう側をのぞき込む未知の感覚が味わえる。
「ぴちゃぴちゃぺろぺろ」塩分がほしかったのかなあ。
「ありがたい」ひんやり、静かにぞっとする。
「ドッヂボール」まさかの展開、まさかのオチが衝撃的。
「帰宅」「カランカラン」日常に迷い込んだ不可思議な現象が魅力的。



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