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平山夢明・監修「FKB饗宴4」全話感想~前編



 FKBシリーズ怪談アンソロ、4冊目。
 畏れ多くも不肖わたくしめが参加させて頂いておりますよあなおそろしや。みなさんもし良ろしかったらぜひ新刊にてご購入下さいませ。

 怖いもの好き、不思議なもの好きだったら絶対楽しいから。ええ。

 それでは、恒例(?)の全話感想に移らせて頂きます。まことに恐縮ながら敬称略。

・カバー扉&オブジェ制作 山下昇平
 オブジェが怖いぃぃぃ!! 気の弱い方なら二目と見られぬほどの、恐ろしくも妖しい造形が見事。
 怪談もいつも素敵で、怪異のビジュアルがまざまざと脳裏に浮かぶような素敵なお話だ。

・がっぷ獅子丸「僕の実家に纏わる話」
 軽妙な語り口にのせられてたどり着くのは、和の情念こもった怪しき地平。死屍累々の内容もさることながら、ぶったまげるようなことを淡々と語っていくその様子も非常に恐ろしい。

・吾妻俊樹「封筒を置いてくる」
 簡単なバイトの裏に潜むものが、ヒヤリとさせる。クラシックな趣が現代の舞台に生きていると感じた。
「偽者」いきなり妻子に怯えられた理由とは。答えの出ないところが不安を増幅してゆく。
「かたつむり」意味不明の大きなかたつむりがなんとも不気味。

・松村進吉「病院通り」
 とある病院とその周辺に起きる怪異の描写が光る。どこかもの悲しい雰囲気で統一され、出てくる怪異がオーソドックスなものからアヴァンギャルドなヤツまで多彩、キュートかつウェットでグッとくる。

・松村比呂美「連れてくる人」
 ついてこられる母の物語は、当人のまっすぐな義理がたさを思わせる。
「お茶をまく」善人が損をする話なのだが、なぜか読むと気分がほっこりする。
「部屋の相性」なごみ系の嫁姑譚で、素敵だ。

・神薫「コックリさんのしっぽ」私のぶんは感想ではなく裏話を書かせて頂く。この話は地元静岡のライブハウス騒弦で行われた「怪談BAR」第二回にて、参加者のうら若き女性からいただいたものである(掲載が決まった後、焼き肉にてお礼済)。
「夜に生物を捨てるな」その後、女性のアパートに置いた鉢植え周辺で肌色の物体が動き回るのが目撃されている。
「地上の星」夫行きつけのライブハウスUHUにて聞いたお話。近日中に献本とお礼に伺う予定。
「合法的殺人」文章では巧く伝わらないが、本人の無邪気なところが怖かったのだった。最近、私は抜け毛が多いことでもあるし。

・幽戸玄太「代役」
 霊が生きた人に気持ちを伝えようとする。生死を問わずエネルギッシュなカナヤマに圧倒される。
「怖い顔」読後、独りで鏡をのぞきたくなる、じんわり嫌な怪談でゾクゾク。

・黒史郎「ゴミの主」
 ゴミチェックを執拗にしていた老婆の思いはいかに。死者と生者が或る意味両思いだったと思うのだけど、違いますでしょうか?
「ナクコモダマレ」不可解な怪異、不条理な恐怖、意味を求めることこそが無意味だと諦念すら覚えるラスト。これぞ、怪談。


 後程、後半感想をUP予定です。







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