Image may be NSFW. Clik here to view. ![]() | ことりImage may be NSFW. Clik here to view. ![]() 小川 洋子 朝日新聞出版 2012-11-07 Amazonで詳しく見る |
憑かれるが如く小鳥を愛した兄弟の一生。
物語は、小鳥の小父さんと呼ばれていた老人の死から始まる。ここでまず、小さな違和感が(#)。
ポーポー語なる特殊なオリジナル言語で話す兄弟を描く前半は、他者を拒む濃密すぎる空間に、読者として入り込めなかった。
だが、優れながらにして欠落していた兄を失ってから、物語に迫力が出てくる。兄の思い出に呪縛された弟の孤独がしみじみと迫ってくるのだ。
どうにもならない、主人公の恋心にはドキドキした。年の差、思い込み、一方的な想いと、どれをとっても破局にしか通じない道である。そばにいながら触れられない乙女など、まるで籠の中の小鳥のようではないか!
最初から告知されていたラストなどは、近年騒がれる無縁社会そのもので、なんとも言えぬ寂寥感があった。
(#)細かなことだが、飼い主が腐敗の始まった状態で発見されているのに、小鳥は元気にさえずっている。新聞がたまっていることから、死後二、三日は過ぎていそうである。
飼ったことのある人ならわかると思うが、小鳥は飢餓に弱く、一日絶食しただけで死んでしまう。となると、よほど老人が餌をたんまり入れてあったのか?と、少し気になってしまうのだった…。
p.s.終盤、「鳴き合わせ」がなぜ問題なのかについては、こちらのノンフィクションがすごい迫力なので、あわせて読むのをおすすめする。
野鳥売買 メジロたちの悲劇 (講談社プラスアルファ新書)
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