訳・田中泰子
絵・エヌ・カチェルギーン ヴェー・カナシェーヴィッチ
世界の民話シリーズ、ロシア編。
寒い寒い豪雪のお国柄か、いじわる継母といじわる娘が雪中で凍死したりする「雪じいさん」が印象的だ。
他にも王様の命令は聞かないが、一般人の娘っこの頼みを聞いて怪物を退場する英雄「皮なめしのニキータ」など、この国らしいなあと思う。
日本における山姥のように、どの地方の民話にも、恐ろしい人食いの化け物が出てくるものだが、ロシアでのそれは『バーバ・ヤガー』である。
この化け物は女の姿をしていて、魔女のように不思議な力を持っており、基本人食いらしいが、話せばわかって時には英雄を助けてくれる「若返りのリンゴと命の水の話」。
呪的逃走の「水の王の娘エレーナ」はスサノオとスセリヒメのようでもあるし、「ふたりの兄弟」は世界各国に類話がある。世界は広いようで繋がりあっていたのか、それとも人間の想像力には限りがあるのか…。
いずれにせよ、長く語り継がれた民話はお話のエリートで、たいへんエキサイティングで面白いということだけは確かだ。
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世界むかし話 ロシア
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