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土橋真二郎「殺戮ゲームの館」上・下

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殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)
土橋 真二郎

アスキーメディアワークス 2010-03


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殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)
土橋 真二郎

アスキーメディアワークス 2010-03


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 大学のオカルトサークル+後輩の女子高生の十一人は、集団自殺現場となった廃屋を訪ねるが、気づくと密閉された館に閉じこめられていた。そこで、夜が来るたびに仲間が死んでいき…心理サスペンス。

 おおクローズドサークルだねミステリーの王道だね!
 一人ずつ殺されていくことより、主人公である福永と、女子高生・藍の合理主義の鬼ぶりが遺憾なく発揮されていて怖い。彼らはあまりに冷徹で、サークルメンバーであっても死んでもいい人/死んでほしくない人を線引きして見ることができるのだ。

 設定の似た「そして扉が閉ざされた(#1)」「インシテミル(#2)」との比較は、amazonレビューで既に多くの方が語っているので略す。
 どちらかというと自分は情緒的な人間だから、亜実の言い分の方がもっともだと思えた。
 ただ、いくら手引きがあったにせよ、無知な人の方が多い状況で、しょっぱなからゲームのルールに従うのにはリアリティを感じない。ここはミステリらしく、全員一カ所で固まって過ごすのが道理じゃないか(それだとゲームにならないけれども…)?

 仲間うちで疑心暗鬼に陥る様子は、映画「遊星からの物体X(#3)」のようで楽しかった。

p.s.二カ所ほど、「タナトス」が「タトナス」になっていた。重版からは直っているんだろうか。


(#1)そして扉が閉ざされた (講談社文庫)
そして扉が閉ざされた (講談社文庫)
岡嶋二人の傑作。脱出への努力がちと長すぎる気もするが、真相があまりにせつなく、余韻が残る。

(#2)インシテミル (文春文庫)
インシテミル (文春文庫)

莫大な報酬につられた人々が明かす恐怖の夜。よりゲーム的で、本作に近い味わいか。

(#3)遊星からの物体X(復刻版)(初回限定生産) [DVD]
遊星からの物体X(復刻版)(初回限定生産) [DVD]
名作映画。たいへん素晴らしい。まだ見ていない人は、人生を損している。



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