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夢枕獏「宿神」一・ニ

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宿神 第一巻宿神 第一巻
夢枕獏

朝日新聞出版 2012-09-07


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 平清盛と仲良しの佐藤義清(若き日の西行)は、普通の人には見えぬはずの、この世ならざるものが見えていた…時代ファンタジー。

 うーん、何故だろう?どうも作品世界に入り込めなかった。同著者の「陰陽師」で既出の挿話(鬼と勝負して美女をもらうとか…)が多く、既視感があるせいだろうか。主人公と清盛の友情などは、たいへんに麗しいのだけれど。

 ピンと来なかった一番大きな理由は、メインの一つである主人公の恋愛が腑に落ちないからか。とにかく、一目で惚れるのである。それはそれは美しかったのであろう。璋子には美貌の他に、音楽の才や主人公と同じ霊感体質もあった。
 だが、それでも…私には、惚れた理由が納得できなかったのだ。読んでいて、可哀想ながら強く凛々しく生きたことは伝わるのだが、魅力的かと言われると…。

 この恋愛を主軸に物語がまわるので、こここでつまづくともうダメである。


 また、時の流れもたいへんに早く、スッスッと時代が飛ぶので、ついてゆくのもやっとだ。
 主人公はいつの間に結婚し、子供までもうけていたのか。その際、女院・璋子を愛することとの葛藤はなかったのか。物語の本流からみれば些末なことかもしれないが、私は女なので、そのあたりが気になってしまった。


 次巻からは恋愛中心じゃなさそうだから、一応続きも読んでみようと思う。





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