![]() | 絹更月怪異録 ~摩楼館怪奇事件簿~ (竹書房ホラー文庫) 澤村有希 竹書房 2012-09-29 Amazonで詳しく見る |
フリーライターの一条は、よく怪奇実話を仕事にしている。行きつけの喫茶店マスター如月に打ち明ける怪談の数々とは。
怪談実話シリーズらしからぬ、ラノベ風(BL風?)のイラスト表紙が目をひく一冊である。
タイトルの館は語られる場所となる喫茶店の名で、幽霊屋敷の話ではないからお間違いなく。
実話パートと語り手小説風パートから成るのだが、小説部分は食べ物(グルメ&スイーツ、コーヒー)と本の蘊蓄が続くので、ただ怪談実話をガツンと読みたいんじゃー!!という読者は戸惑ってしまうかもしれない。
実話部分では、第三話「夏の日」の、小さな話がまとめて載せられているのが面白かった。新味のあるいい話もあり、小説部分なしでも全編こんな感じでイケたらエキサイティングで良かったのになぁ、と思ってしまう。
著者あとがきに、なぜ小説仕立てにしたのかが語られており、確かにそれは面白い試みであるのだけれど、やはり読者としては怪談に期待して読むわけで、それならこちらの本みたいなやり方もあるのでは、と思うのだった。