![]() | 左足の虹 水原 秀策 PHP研究所 2011-09-24 Amazonで詳しく見る |
J2昇格を目指すチームの強化担当をしている柏原は、アンダー代表だったこともありJ1レベルの技術を持つ乾選手を引き抜いてきた。ところが、昇格を前にして乾のプレーは精細を欠くようになる。どうやら過去に失踪した伝説のサポーターが関係しているらしいのだが…サッカーチームのサスペンス。
サッカーを書いたサスペンスなので手に取った。うーん、作者はサッカーが好きなんだろうか? p341の9行目、最初の“得点”は相手チームのゴールなのだから、心情的には“失点”と言うのではなかろうか。
あとは題材。スー●●、K大集団×××事件をモデルにしていると思うのだが、結末にカタルシスがまるでなし。サッカー選手に悪意がある…とまでは言わないけれど、サッカーファンだと読んでいて気分が悪くなる可能性がある(私はそうだった。事実、業界では過去に三度ほどこの種の犯罪が起きているが、集団ではなかった。全ての選手が聖人君子であるとは言わないし、サッカー選手を美化しろというつもりはないが、この小説にてクローズアップされる選手がみな嫌な奴ばかりなのでげんなりしてしまう)。
乾もとらえどころのないキャラで魅力に欠けるし、柏原の捜査も(素人だから仕方ない点はあるが)、謎が本当に謎なわけじゃなくて、虚言癖のあるオバハンの言葉を真に受けたオバハンが騒いだだけであり、アリバイもいい加減な人が適当こいてただけなのでだっふんだである。
サッカーの試合描写は悪くないだけに、柏原は別のストーリーで見てみたかった。