![]() | 実話怪談覚書 忌之刻 (竹書房ホラー文庫) 我妻俊樹 竹書房 2012-08-29 Amazonで詳しく見る |
平山夢明監修・FKBシリーズの一冊。
いわゆる怪談のパターンにはまらぬシュールな話が多くて楽しい。
ヒュードロドロのみならず、サイコ系とも解釈できる話も収録されており、バラエティに富んだ内容となっている。
基本「チョーコワ」流の伝統的な聞き書き風の語りなれど、確実に新味の加わった作風で、好感が持てる。
この本には、世界がパラレルに混線していくような、夢と現実の境界がじわじわとにじみ、歪み出すような独特の味わいがある。
私のお気に入りを下記に。
「みすずさん」知人から少し変わった女性を紹介され、いざ会おうとしたが…。
これは素敵な話だ。なんとも不思議で、どうにも合理的な説明がつけられない。
「亀」トイレが怖いという娘、その意外な理由は…。
これは展開が予想もつかず、わくわくした。
「島憑き」霊能者に指摘された、意外な憑きものとは…って、タイトルでネタバレなのだけれども、壮大な話で良かった。
あと一つ、「沼と校舎」。私も不思議な話を趣味で集めては書いているんだけど、これと内容がものすごくかぶったわ。途中がまるかぶりなのね。でも場所は東京ではないし、中学生でもないのだけれども、現象が一緒で。同じ人から採話したってこともないのよ、だってわたしの体験だもの。シンクロニシティってやつかしら。