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町田康「餓鬼道巡行」

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餓鬼道巡行餓鬼道巡行
町田 康

幻冬舎 2012-06-27


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 肥大した自我を抱えて生きる男に、安らぎの地はない…グルメエッセイに身をやつしたパンク小説。

 出だしはいかにもすかした風で、濃厚に著者を思わせる主人公がパンツ姿でバラをくわえる描写などいかにもやりすぎであり、うーん、ついていけないと思ったものだ。なのに、すいすい流れる文体にノっていけば、いつものように世界の彼方にブッ飛んで面白い。出だしで読むのをやめていたら、損をするところだった。

 なんといっても今回は97pに書かれた事件に痺れた。私もよく、店の人に「能面のよう」な顔されてサービスをスルーされるんで、これは私のことかッ!!!みたいな心持になって、共感のあまり泣き伏しそうになった(マジで)。

 生活臭を含ませながら、どこかアートでおしゃれ感漂う写真が併録されているが、活字部分とのつながりは謎。

p.s.「バイ貝」(アッやべっ、まだ感想書いてない)が買い物小説ならば、今回は始め生活、のち食い物小説。この路線はワン・パターンではあるが身に迫って面白いので、マンネリにならぬ程度に続けていっていただきたい。
 しかし、マーチダ文体は有害だよねぇ伝染性がスゴイもの。すごい面白いんだけど、まだ自分の文体が固まっていない、若い人にはオススメできないかも。



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