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田中啓文「茶坊主漫遊記」

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茶坊主漫遊記 (集英社文庫)茶坊主漫遊記 (集英社文庫)
田中 啓文

集英社 2012-02-17


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 むくつけき剣の達人・腐乱坊の主は、処刑されたはずのあの偉人だった。僧形をとり幕府から逃れる二人に、旅芸人が加わって…歴史ミステリー。

 いやあ面白かった。「水戸黄門」にたとえるならば、主人公の老僧は黄門さまで決まり、お供にスケさんカクさんを足して2をかけたような腐乱坊、弥七とうっかり八兵衛を混ぜこねたような彦七とくれば、面白くならぬはずがない。

 連作形式で、一話一話に小さな謎が仕込まれ、謎解き珍道中のうちに、ラスト大きな秘密が見えてくる…この仕掛け、味のあるキャラクター、重苦しくなく軽やかな文体、大きな仕掛け、これはもうバリバリにプロの技。おおっと思える面白い本が読みたいなぁ、でもあまり重すぎないやつを…と思う人にはしゃにむに手渡してしまいたい一冊だ。

p.s.どの話も良かったけれど、「茶坊主の童心」のように、時代劇らしからぬ敵像の出てくる話には、痺れた。




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