![]() | おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫) 細田 守 角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-06-22 Amazonで詳しく見る |
アニメ映画「おおかみこどもの雨と雪」の監督が自ら手がけた小説バージョン。
大学生の花は、おおかみおとこ(というにはあまりに繊細な男性)と恋に落ち、出産する。ところが彼が事故死、花は女手一つで二人のおおかみこどもを育てることに…。
amazonカスタマーレビューでは文章についてさんざん言われているが、確かに最初こそは入りにくさを感じたものの、出産してからは時間経過が早くて一気に読めた。比喩は豊穣でないし、平易な言葉のみを用いて淡々と綴られた文章は、美文ではない。けれども、わかりやすさは児童文学レベルであって、年若い読者に配慮した結果なのかもなぁと思った。
監督のtwitterによれば、映画→小説の順が推奨らしく、それならばアッサリした描写の上に、記憶した映画の該当シーンがリプレイされて良いあんばいになるだろうと、納得した次第。
ここからは、少し内容に触れるので、知りたくない人はUターンを。
私がこの本を読んだ理由は、映画の宣伝を見て三つ知りたいことができたから。
その1.どのように恋に落ちたのか
これは案外現実的で、堅実な出会い。あまりロマンチックではなかった。もっと、遭難した山ガールが森の精霊と…みたいな話かと予想していた。
その2.なぜ狼男は死んでしまったのか
いきなり死体が提示されるのみで、死因は明らかになっていない。あまりに唐突な死ゆえ、ヒロイン・花と共に途方に暮れてしまった。
その3.二人のおおかみこどもはどうなるのか
当初の印象を裏切るラストには好感を持ったし、この終わり方しかないだろうと思った。ただ、そちらを選ぶのが●ではなかったことは、予想外だった。
これを言ってはなんだが、この人たちは避妊をしないのであろうか。
恋して愛し合い子孫を作るのは生き物の自然な姿ではあるが、花が大学を卒業する四年間も待てなかったのだろうか、おおかみおとこは彼女に大学を中退させることをどう考えていたのか、疑問が残る。
雪と雨は年子である。経済的にあまり楽ではないのに、生き急ぐように子を作ったのは何故なのだろう。
また、初産後いきなり彼が亡くなったわけではなく、一年数ヶ月は共に暮らしていたのだから、彼の幼いころのことなど聞きはしなかったのだろうか、そこにも疑問は残る。
しみじみとしたいい話ではあるが、上記の点が、やや気になってしまった。
スニーカー文庫からも、カバーのバージョン違い版が出ているもよう。
おおかみこどもの雨と雪 (角川スニーカー文庫)/細田 守
