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山本弘「名被害者・一条(仮名)の事件簿」

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名被害者・一条(仮名)の事件簿 (講談社ノベルス)名被害者・一条(仮名)の事件簿 (講談社ノベルス)
山本 弘

講談社 2012-04-05


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 どういうわけか他人によく殺されかける被害者体質の少女、一条。これは、そんな危なっかしい彼女の生活を見守った記録である…コミカルな連作ミステリ。

 一読して、ああその手があったか!!と膝を打った。
 端的に言えば、本格ミステリとしては使えない、古臭かったり穴だらけなトリックをおバカな犯人が一条相手に仕掛ようとするが、ことごとく見抜かれて挫折していく、というストーリーだ。賞味期限の過ぎたネタ(トリック)も、このような味付けならば立派な料理(ミステリ)になるのだなぁと感心しきり。

 ただ、端正なミステリと見せかけて(?)ラストはファンタジック、SF方面にぶっ飛ぶ。作中で今のラノベ業界を語ったりなど、メタな面もあり、ミステリの枠にはおさまらない怪作なのだ。

 一つだけ文句があるとすれば、ヒロイン一条に好感が持てぬことか(著者の本を読みなれている人ならば、ああ、またかと思うだろうが…)。羞恥心がないから裸を異性に見られても平気で、エロい言葉を異性に投げかけても平気。自分の命にすら執着がなく、いい方法であれば殺されてもかまわない、むしろ完全犯罪なら殺されてみたいとまで思ってしまう少女。
 悪いが、普通の神経をしていれば、そんな不気味な少女を好きになることはできない。実際、彼女の先輩への言葉いじめ(わいせつ単語連発)などは読んでいて先輩が痛々しくなるほどだった(面白いというより、くどかった。私が女性だからそう思うのだろうか…?)
 ヒロインが無頓着であればこそ、トンデモなラストが活きてくるのかもしれないが、彼女ジャナイ女主人公で、この物語を見てみたかった。

 
p.s.半径2mの下着が消失するラノベはこれ。パンツブレイカー (一迅社文庫)
パンツブレイカー (一迅社文庫)
一発ネタかと思いきや、「パンツブレイカ―G」なる続編もあるようだ。





 

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