![]() | 猿猴 (講談社文庫) 田中 啓文 講談社 2012-05-15 Amazonで詳しく見る |
サルに似た顔の奈美江は、遭難した山で流産してしまう。親友に励まされ、同じ山に再チャレンジした奈美江だが、またもや不気味な洞窟に迷い込み、そこで男児を授かる。
三人の猿仮面からその子は希望の子と言われ、奈美江は子育てを生き甲斐とするが、三歳の誕生日に子供はさらわれてしまい…子を探すうち、奈美江は豊臣埋蔵金や聖徳太子の未来記の謎に触れていくが。伝奇猿小説。
流産やレイプ等、ハードな展開なので、そういう描写が苦手な人は気をつけて…。
さすがのブっ飛んだラスト、解放の意味など謎解きは圧巻で、そういう発想とは予想もつかなかった…と唸らされたが、ヒロインたちは酷い目に遇いすぎて、その苦労が報われもせず可哀想だった。
安易な救いがない点においては、現実にも似た厳しさのある物語だと言えるかもしれない。
p.s.もうちょっと奈美江と探偵の交流が読みたかったかも…後半は大急ぎの展開だね。