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戸神重明 編著「高崎怪談会 東国百鬼譚」

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 全100回を目指す怪談イベント「高崎怪談会」にて人気沸騰の話をギュッと収録した一冊(書き下ろしも、もちろんあり)。

 味わい深い一冊だった。怪談は語りの文芸と言われるのも納得、話者の息遣いが生かされた内容で面白かった。


 お気に入りを下記に。


・春南灯
金木犀/ほっこりしたのち、ゾッとする…その落差がイイ。
遺影/鮮やかな対比に目を奪われる。


・夜馬裕
ほうたいさん/じわじわと沈み込んでいくような怪異にゾクゾク。
死猫三景/怪異自体はシンプルかと思えば、人の心が複雑に絡み合って味わい深い。


・マリブル
雛人形の首/これぞ人形の本懐…ええ話や…。


・篭三蔵
どの話も興味深いが、敢えて選ぶとこの二篇がスキ!
改竄/書き手ならではの、取材に伴う怪異が恐ろしい。人の心の危うさと、大いなるものへの畏怖とが印象的。
どうもすみません/可愛すぎて、見てみたくなる!


・北城椿貴
酒乱の地縛霊/体験者がご本人だけに、日常と地続きに在る怪異が非常にリアル。


・しのはら史絵
着信音/まさに王道、ストレートな怖さ!
太刀魚と刃/全国に、このように忘れられかけている戒めがあったら…?


・戸神重明
蚕よ、飛べ/群馬の養蚕業の栄枯盛衰、そして怪異。著者ならではの、情緒あふれる昆虫怪談が味わい深い。
守られた男/あちらの好意は、こちらの理屈では推し量れないものなのかもしれない…。


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