竹書房怪談コンテストから、初単著。
北海道各地の怪異をその歴史から掘り起こし、丹念な現地取材が光る。アイヌ文化や熊害など、北海道ならではのご当地怪談の数々が味わえる一冊。
特筆すべきは著者の霊感体質。加門七海作品のような著者自身に肉迫する怪異が実にリアルだ。また、あとがきの丁寧な謝辞には著者の真面目なお人柄が忍ばれる。
私的お気に入りを下記に。
天狗の棲む島/いい話と思いきや…おそらく、人間の善悪や思惑とは、全く違った基準で動いているのだろうなぁ。
コロポックル/邪なるモノと、聖なるモノの対比が鮮やかで、幻想的なご当地譚だ。
ねこじい/猫には迷惑だけど、憎めない…。
うかーさん/しんみり、切ない人の心。それは、生きていたときと寸分も違わないものだ。
熱い場所/因縁が気になる…。
ガーコ/不気味極まる話!
幽霊飴/怪談執筆怪談で興味深い。