![]() | 「超」怖い話 ひとり (竹書房文庫) 久田 樹生 竹書房 2017-04-28 Amazonで詳しく見る |
重々しい内容のルポ怪談で知られる著者の新作。
今回もまた、呪いや不条理な祟り、一族にとり憑く業病など救い無き暗い話が目白押し。
お気に入りを下記に。
「白帷子」類話は多々あれど、着物の存在感が強くてゾクゾク。
「承知のことぞ」耳に残って離れない歌。いわれが失われてしまったからこそ、怖くなった話だと思う。
「ぐんぐん」怪異からの引力。この臨場感たるや、背筋寒くなる。
「一本杉」世が世ならば、天狗の仕業ということになるのだろうか。「現代民話考」に収録されてほしい一篇だ。
「なのかやま」描かれないことこそが怖い怪談の好例。
「のたまり」意味不明なモヤモヤ感が不安あおる逸品。我妻俊樹、黒木あるじ、黒史郎作品にも、このようなワケノワカラナイ日本語譚があるから、謎言葉怪談として、アンソロジー的にまとめて読んでみたい。
解説を敢えてせず、真相が寸止めなところに想像の余地があり、余韻も残る。